またも輪友のロードを預かってしまった。仮に亀丸号としておこう。調子がよろしくないというのを風の噂で聞いたのでまたまたしゃしゃり出てしまった。ゴールデンウィークの最終日に実車が持ち込まれた。

http://emochin.blog.shinobi.jp/%E6%95%B4%E5%82%99/20150719亀丸号
フレームはBoardman SLR 9.2という軽量カーボン、コンポはSRAM FORCE、ホイールはShimano RS-21である。
症状は
1.フロントの変速不良、アウターに上がりにくい。
2.カセットスプロケのガタ。フリーにガタがあるようでカセットごとカタカタする。
3.余談だがBBベアリングを今まで数回交換しているとのこと。
ということだった。
クランクは10速FORCEのノーマルクランクでインナーはQ-Ringsの39T・アクスルはφ30、BB形式はBB30、もちろんフレームのハンガーはφ42がポカンと空いてるBB30である。
まず、Q-Ringsだが、アウターとインナーの間にチェーンが乗ってしまうことがあるようだ。インナーに落ち切らない状態である。これは自分もShimanoクランクで他社インナーを組み合わせたときに経験がある。インナーとアウターの距離(歯の位置)が離れたのが原因で、インナーを外側に寄せたりインナーギヤの歯先を削ったりして対処した。
しかし今回はBB形式をBB30から24mmシャフト(Shimano HollowteckⅡ)に変更することになったのでクランクはShimano製となり、現行のSRAMクランクは使わないので手をつけない。BBのアダプタはKCNCのBB30-RD-SHIMANO(赤)、以前ムセウのカンパ→Shimano化の時と同じものである。
預かった時点ではフロントディレーラーのワイヤー固定が間違った留め方になっていた。ワイヤーの引き量に影響を及ぼすと思われるので変速不良の原因はこれだったのかもしれない。輪行姿(前後輪バラし)で持ち込まれてきたので組み立ててみたが、フロントの変速が上手く行かない。変速レバーにも問題があるようだ。どうやらレバーの戻りが悪く手で戻さないと戻り切らなくなっている。完全に戻らないとラチェットが掛からずに次の動作が出来なくなる。清掃・給油で解決する可能性もあるが、子細に見る必要がある。
ホイールのフリーボディのガタについてはバラしてみないとなんとも判断できない。Shimanoのフリー部分はいじった経験がない。
以上が作業前の状況であった。
◇BB交換
以前整備したムセウも自前のBHもフレームのBBハンガーの仕様はBB30である。にもかかわらず今回初めてまともなBB30という形式に触れた。しかしBB30を見限って他の形式にする... BB30という形式は近いうちになくなるであろう。
ベアリングの取り外しはタコさんウインナー型ヘッドワンポンチで叩き出した。内側に位置決めのリングが付いているのでそいつを叩かないように注意する。
取り外したBB30ベアリング
位置決めリングの溝には接着剤のようなものが残っていたのでワイヤーブラシで取り除いた。
綺麗にしたところにBB30ハンガーでホローテック2などの24mmアクスルを使う事ができるコンバーターを取り付けた。これでShimano製クランクが装着できる。今回は手持ちで使わなくなったFC-6750を使用した。
◇フリーボディ
確かに少しガタがある。ハブから外してみたが、このガタを取るには更にバラしてシム(ワッシャ―)の抜き差しをするようだ。この作業をするためには専用工具が必要になり、それは現在市販されていない。ユーザーが手をつけてはならないというShimanoの考え方からだと思う。
工具は作れないこともないかもしれないが、やめておこう。今回はそのまま戻した。
◇フロントディレーラー
フロントの変速はさきほどの見解だったが、これはワイヤーを適切に張ったら症状が出なくなった。ワイヤーテンションが足りなかったようだ。
◇リアディレーラー
ちょっと見づらいが、上の写真のようにアウター×ロー側数枚の時にテンションプーリーの歯に掛からずに外側に脱線してしまうという症状があった。フロントがインナーに掛かっていればどこのギヤでも症状は出ない。RDが内側に向いているように思える。ディレーラーハンガーは前やや下と中やや上の2か所でフレームに固定されている。このうちの前側にワッシャを挟んで少し前を外側に向けたら症状が収まった。が、エンドーハンガー間に隙間があったり、クイックを締めるとRDが動いたり気持いいものではない。
本人に聞いてみたら、以前RDのスポーク巻き込み事故があってハンガー折れの時にRDも曲がって手で戻したということだった。となるとRD自体が変形している可能性が大いにある。具体的にどこをどう直したかははっきりしなかった。ケージのプレートはカーボンであるから、塑性変形するとは考えにくい(元の形に戻るか、折れるか、亀裂が入るか)。なので取付ねじ部か、リンク部か。。しかしどちらも変形してそうにない。。。テンションプーリーとガイドプーリーのそれぞれ逆の片側にシムを入れてみたりしたが改善は見られなかった。
そこでフレームのリアエンドとハンガーの間に挟むシムを作った。前後で厚みを変えて(前0.8、後0.4mm)ハンガーの前側が開くようにした。これにRDを取付けて調整すれば全段に渡って使えるようになった。
前後で厚みを変えたシム
ハンガーの取付部をテーパー付けて削ればシムなど不要になるが、RDを取り換えたときに不具合が出る可能性がある。ハンガーは新品だし、フレームエンドが変形しているとは思えない。試走して不具合無いことは確認した。が、しかしやはり納得できない。。根本の解決にはなってないような気がするにゃあ。。。
もう一度シムなど挟まないノーマルの状態に戻してみる。当然前と同じように症状が出る。手持ちの自転車に同タイプのRDを装着してあるものがあり、それを外して亀丸号に付けてみた。これは快調に変速する。やはりフレームエンドとディレーラーハンガーは正常であることが分かった。もう一度RDを疑う必要がある。
ケージの外側のプレートはカーボン製で、回転軸が埋め込まれていてその軸がディレーラー本体とをつないでいる。この部分にも異常はなさそうだった。
ケージの内側のプレートは金属製である。おそらくアルミ系。ただの平板ではなく厚みや角度がついていて変形があるかは見分けられない。そこでテンションプーリーが外側に向くように少し曲げてみた。すると俄然調子良くなってきた。これだったのだ(これじゃないかもしれないけど、これが原因ということにしておこう)。更に微調整(曲げること)して全段問題なく変速できるようになった。
ケージの内側プレート

ここまでが長かったなあ。早くRDを取り換えてみれば良かったと後悔。でもチェーンを張った後では面倒臭くて。。。(ミッシングリンクを使っていたらもっと早い時点でやってたかも)
◇ブレーキワイヤー
前後ともアウターが少々長めで急に曲がっているところがある。そこをインナー素線の「より」が通過するときに発生すると思われるゴリゴリ感があったので、少し詰めて素直な取り回しにした。ケーブル内蔵のフレームなので、恐る恐るワイヤーを抜いてみたがちゃんとフレーム内にガイドが通っていた。
変更前と変更後のブレーキワイヤー(リア部)
ブレーキワイヤー(フロント部)
◇シフトワイヤー交換
シフトワイヤーは本体と同時に持ち込まれていたので前後とも交換した。
まずフロントから作業、インナーワイヤーを抜いた瞬間嫌な予感が。シフト側もフレーム内蔵だが、こっちはガイドが無い。げっ、先に言ってくれー。。。
抜いちゃったものはしょうがないので、新しいケーブルをブラケットから通して、フレームを通して、フレームの出口から出して。。やっぱり出てくるもんじゃない。。。
でも、針金なら通った。この針金にワイヤー先端をくっつければ引っ張り出せる。テープでやろうとしたけどすぐ取れる。ハンダは面倒臭いにゃあ。
数年前にワイヤーライナーを買ったことを思い出して、果たして見つかった。針金をメッセンジャーにしてワイヤーライナーがめでたく通った。さらにこれをガイドにしてワイヤーを通し、ライナーを引き抜いて祝開通。
リアは元々のワイヤーをガイドにライナーを通したからあっという間に開通した。
フレーム内で2本のワイヤーがクロスしてないかは、引っ張った感触で確かめた。
◇タイヤ
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