知り合いからホイール組みを頼まれた。
http://emochin.blog.shinobi.jp/%E6%95%B4%E5%82%99/700c%E3%83%9B%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%83%AB%E7%B5%84%E3%81%BF700Cホイールを組む
クロモリロードレーサーで使用、クリンチャータイヤ700×25C付き、シマノ11速フリー。
その他はおまかせ。
○どんなホイールにするか、どのパーツを使うか。
それらが決定されるまでの過程はこんな事を考えていた。
組みやすいのは、マビック・オープンプロ+アルテグラのハブかな
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ユーザーは高級志向でデュラエースハブを希望しているぞ
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11速フリーだとおちょこ量が増えてスポークの左右張力差が大きくなって上手に組める自信がない
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スポーク穴がオフセットされたリムならばかなり緩和され、経験もある
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手組用で唯一手に入ると思われるリムがDTSwissのRR440asymmetric、今のところこれを使うしかない。クロモリにはあまり似合わないと思えるが、致し方ない
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左右で組み方を変えれば張力のアンバランスはさらに緩和される(実績あり)
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フロントは少しでも軽量のRR415を使いたい
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色々探してみたがRR415は廃番になっていて手に入らない。後継機種のリアと同じRR440とする。ただしこちらは左右対称
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ハブのご希望はデュラエースだが、独断でフリーのラチェット音の静かなアルテグラを使わせていただく
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リアは32H、荷重の少ないフロントは28Hにしてみよう
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だがアルテのフロントハブに28Hの設定がない
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仕方ない、フロントハブはデュラHB-9000にするしかないな
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前輪はイタリアン6本組、スポークはバテッドのDTコンペティション1.8-1.6で大丈夫だろう、折れたら太くすれば
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後輪もイタリアンで、ドライブサイド4本組、反ドライブサイドは6本組にする
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リアのスポークはより負担のかかるドライブサイドはDTコンペティション2.0-1.8、反ドライブサイドはDTコンペティション1.8-1.6にしよう
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リムのERDはカタログ値599に対して実測597だった。スポーク長の計算には実測値を採用した
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計算結果はフロント295.9mm、反ドライブサイド291.7mm、ドライブサイド282.6mmと出た。小数点以下は切り捨てて短か目を選択
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このリムの指定リムテープ幅は20mmという広めの内寸である
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このリムに18mmのリムテープを使用していたことがあったが、使っているうちにテープがずれてパンクした経験があるのでリムテープは指定の20mmとする
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タイヤは、自分では使ったことがないが長寿命でパンクに強いと言われているコンチネンタルのGrand Prix 4000シリーズを探したが在庫を置いてある店がなく、ミシュランに
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ユーザーは大柄で体重もそれなりにあるので、スポーク張力は高めにしておこう
ということで仕様は
◆リム フロント:RR440(DTSwiss)
◆リム リア:RR440asymmetric(DTSwiss)
◆ハブ フロント:HB-9000 28H(シマノ)
◆ハブ リア:FH-6800 32H(シマノ)
◆スポーク フロント:DTコンペティション1.8-1.6 295mm(DTSwiss)
◆スポーク リア ドライブサイド:DTコンペティション2.0-1.8 282mm(DTSwiss)
◆スポーク リア 反ドライブサイド:DTコンペティション1.8-1.6 291mm(DTSwiss)
◆リムテープ:700C×20mm(シマノ)
◆チューブ:SV20 700C×18-25(シュワルベ)
◆タイヤ:PRO4エンデュランス700×25C(ミシュラン)
◆スポーク張力 フロント:957N
◆スポーク張力 リア ドライブサイド:1220N
◆スポーク張力 リア 反ドライブサイド:776N
(おー、今回の単位はNだぜ。重力単位系にしたかったら0.101971621297793を乗じてね)
◆重量 フロント(クイック込):809gf
◆重量 リア(クイック込):1061gf
(これは秤(天秤ではなくばねばかりの類)に載せた結果なので質量ではなく重量でいいよね)
スポークは短かめを選択したが、ねじ部が見えるようなことはなかった。
組み上げはスムーズに進んだ。ただホイールセンターを確認するために振れ取り台から外すのが煩わしい。何かいい改良案はないかな。
クロモリ車の完成はまだ数か月間を要するということなので、アンカー(カーボン車10速)に装着して慣らしを行ってもらうことにした。10速のスプロケを付けて一旦引き取ってもらった。
しっかりしたホイールに仕上がったと思う。
ユーザーからは、それまで履いていたカンパのホイールとあまり変わらないが小さい段差を乗り越えたときなどはなんとなく気持ちがいい、という印象をもらった。これは褒め言葉と受け取っておくがタイヤも変わっているのでまあ何とも…
それからほぼ1ヶ月ほど経った先日、クロモリ車に取り付ける準備としてスプロケ交換でホイールが戻ってきた。100km以上は走行したようだ。スポーク張力と振れをチェックした。
テンションは5~9%ほど下がっていて、各スポークのバラツキは少なくなっていた。
振れを取りながらテンションを少し上げた。
スポークテンションの変化
(タイヤ未装着時、平均値、単位 N)
引き渡し時 → 引き取り時 → 調整後
フロント:957 → 905 → 917
ドライブサイド:1220 → 1127 → 1273
反ドライブサイド:776 → 709 → 753
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